花活布が誕生した背景

  • 花離れが進む日本

東京都農林総合研究センターが生花の新しい利用方法に取り組み始めたのは、日本人の花離れが次第に進んでおり、このままでは都内の花卉農家の経営が厳しくなるとの危機感からです。日本国内の花卉の卸売市場の規模は、切り花が約3100億円、苗ものを含めた鉢ものが約900億円となっており、平均して毎年約1%ずつ市場が縮小しています。花卉生産農家の懸命な品種改良努力にも拘らず、この20年程、花卉の市場縮小傾向に歯止めがかからない状態です。

 

  • 贅沢品になりつつある生花

街の花屋さんを覗くと、生花の切り花は品種改良の結果、洗練されて見栄えが良くなっています。その半面、価格も以前と比べて高くなっています。購入して花瓶に飾ってせいぜい数日しかもたないことを考えると、生花は一種の贅沢品となりつつあります。こうした事情も、消費者が気軽に切り花を購入できない要因になっていると考えられます。

 

  • 花が生活必需品のヨーロッパ諸国

ヨーロッパ諸国を旅行すると、花屋が多いことにすぐ気付きます。市街地の目抜き通りに花屋が店を構え、多くの人々が花束や切り花を買い求めています。価格もそんなに高くありませんから、富裕層ではなくとも気軽に買えます。男性が女性にプレゼントするのにまず思いつくのは花束です。生花は心を和ませ、日々の生活に潤いと彩りを与える生活必需品となっています。

 

  • 日本の花離れは、生活様式の変化が原因か?

結婚式などの冠婚葬祭では盛大に花を飾る日本で、なぜ花離れが進んでいるのでしょうか。女性は一般的に花が好きで、生活に潤いと癒しを与えるために購入したい気持ちが強いでしょう。でも、数日で枯れてしまう高価な生花を頻繁に買いかえるのは大変です。また日本では男性が女性に花を贈る習慣があまり根付いていません。

さらに都市部でマンション居住者が増えていることも花離れの大きな要因でしょう。特に若年層は「生花は高いし、日持ちがする鉢植えは枯れても土が捨てにくい」との理由から花に関心をあまり持たない人が増えているようです。

 

  • 切り花と鉢植えの欠点を補う「花活布」

鉢の代わりにデザイン性に富む巾着型の布袋を花苗に組み合わせた「花活布」は、マンション居住者が様々な室内環境で長期間、生花を観賞してもらうために誕生した画期的製品です。

培地に栄養剤を浸みこませ、根が付いているので時々日光浴させるだけで3週間程度は生き生きとしています。培地に土を一切使わず、焼却可能なヤシ殻を中心とした植物性培地なので衛生的です。食卓にも飾れます。

カップやグラスに入れてテーブルに飾ったり、壁にかけたり、自由自在。オフィスやマンションでも気軽に花を楽しむことができます。

観賞が済んだら、そのまま燃えるごみとして捨てられるので手間いらずです。